こんにちは、とはのです。
皆さんは保育園がある場所のハザードマップを見ていますか。
見ていないのであれば、一度確認をし、浸水想定区域であれば保育園にもしものときはどうするのか確認を取ったほうが良いかもしれません。
というのも、2022年4月18日。
読売新聞のアンケート調査によって、浸水想定区域に立地している保育園や幼稚園などが、全国の主要都市で約4割にのぼることがわかったからです。
今回はこのアンケートをもとに、浸水想定区域の保育園について触れていきたいと思います。
読売新聞のアンケート調査の内容
改めて冒頭に書いた読売新聞のアンケート調査がどんなものだったのかをお伝えします。
調査期間・調査対象
調査期間 | 2022年2月~3月 |
対象地区 | 政令指定都市、県庁所在地、中核市、東京23区の計109自治体 (回答率100%) |
対象施設数※ (2022年1月現在) |
保育施設(認可外含む):21,470施設 幼稚園(公立・私立):3,231施設 認定こども園:3,579施設 |
※一部の民間施設数を把握していない自治体もあるため、必ずしも対象地区すべての施設数ではない
調査形式・内容、調査結果
(調査形式については「アンケート調査」とのみ記載があるだけ。詳しい調査内容については情報元がなかったため割愛しますが、調査結果の内容から浸水想定区域にある施設数と避難確保計画が報告されている施設数の調査をしたと思われます)
調査結果、浸水想定区域にある各施設の数・割合は以下のとおりです。
- 保育施設は少なくとも9,151(42.6%)
- 公立・私立幼稚園は1,177(36.4%)
- 認定こども園は1,587(44・3%)
また、これらの施設のうち、避難確保計画を作成している施設は全体の9,814(82.4%)。
認可外保育施設の作成率は69%、私立幼稚園は72%にとどまっているとされています。
避難確保計画とは
避難確保計画とは「要配慮者利用施設の利用者が円滑かつ迅速な避難の確保を図るために必要な計画のこと」です。
平成29年(2017年)6月19日に改正された『水防法』及び『土砂災害防止法』。
これらによって浸水想定区域や土砂災害警戒区域内の要配慮者利用施設の所有者または管理者に対して、以下が義務となりました。
- 避難確保計画の作成
- 避難訓練の実施
さらに令和3年(2021年)5月に水防法及び土砂災害防止法の一部が改正され、以下の義務が追加されています。
- 避難訓練を実施した場合には、施設管理者から市町村長に対して、訓練結果を報告することが義務化
浸水想定区域とは
浸水想定区域とは、河川の氾濫や高潮による氾濫などが起きた場合に浸水が想定される区域のことです。
この区域は河川管理者である国土交通大臣または都道府県知事が指定します。
土砂災害警戒区域とは
土砂災害警戒区域とは、土砂災害が発生した場合に、住民に生命もしくは身体に危害が及ぶおそれがある区域のことです。
要配慮者利用施設とは
要配慮者利用施設とは、主として防災上の配慮を要する者が利用する施設のことです。
施設には以下のものが挙げられます。
- 社会福祉施設(老人福祉関係施設、有料老人ホーム、児童福祉施設(保育所)、児童相談所など)
- 学校(幼稚園、小・中・高等学校など)
- 医療施設(病院、助産所など)
避難確保計画・訓練の義務化の実態
先ほどのアンケート結果では浸水想定区域にある施設のうち、避難確保計画を作成している施設は全体の82.4%で、およそ2割が整備していないことがわかりました。
しかし、避難確保計画の作成や避難訓練の実施は義務であるのになぜされていないのでしょうか。
避難確保計画・訓練の義務化。整備されていない理由
読売新聞のアンケート調査によると、自治体の担当者からは
- 施設側の人手不足
- 施設側が義務化されている認識が薄い
- コロナの影響で行政の立ち入り調査が十分できず、指導が難しい
といった声があったようです。
また、避難訓練の実施状況については、公立の保育所と幼稚園に関しては94%以上の自治体が把握していたが、私立幼稚園については57%が把握していなかったという結果に。
公立と比べると、私立や認可外は自治体が把握しづらい、指導が行き届かない部分が多いのかもしれませんね。
避難訓練内容については、表面的なものも…
ただし、避難訓練の内容については、正直それだけで良いのかと思われるものも存在します。
たとえば足立区では以下を挙げています。
避難訓練の内容は各施設の状況に合わせてお考えいただき、原則年1回以上実施してください。
※訓練内容は自由に設定していただいて結構です。
【訓練の例】
- 図上訓練
- 避難経路確認訓練
- スタッフによる避難確保計画の読み合わせ訓練
- 備蓄物資の確認訓練
避難訓練というと、実際おこったときの避難を実施することを想像しますが、上記のとおりであればその限りではないことがうかがえます。
このどれかを年1回したからといって「毎年訓練をしています」とは言い難いでしょう。
現場の負荷を軽減させるため、形式上なにかしら訓練をしておく必要があるため、などいろいろ理由は考えられますが、義務としてあるならばもう少ししっかりとした整備が必要なのではと感じます。
子供の安全・職員の安全のためにできること
実際に私の子供が最初に通った保育園は、浸水想定区域でした。
大雨のときにはどこに避難するかなど入園時のプリントに書かれていたので、今思うとあれは避難確保計画の整備によるものだったのかもしれません。
水害などあまりないと思っていましたが、台風上陸やゲリラ豪雨などで付近の道路が浸水したことがあったなど、やはり子供を預けている身としては怖かった覚えがあります。
その後、ハザードマップのエリアからは外れた保育園に通うことになりましたが、それでも以前の保育園の近くのアラートがなると子供たちや先生たちは大丈夫か心配になります。
幸い避難に至るケースは今のところないようです。しかし、このままずっと何も起きないとは言いきれません。
一番はそうした危険のあるところに要配慮者利用施設がないことが一番ですが、立地や利用の関係上からそこしか選べないケースも多いです。
せめて万が一のときに被害が最小限に抑えられるよう、義務としてではなく必要あることとして自発的に避難確保計画の策定や、定期的な避難訓練(模擬訓練)をしてもらえたらと思います。
【参考サイト】