こんにちは、とはのです。
今回は妊娠時に注意したいことのひとつである、「トキソプラズマ症」。
なかでも、猫との関係を重点的にお伝えしたいと思います。
- トキソプラズマ症とは
- トキソプラズマの妊婦・胎児への影響
- トキソプラズマの感染経路
- トキソプラズマと猫との因果関係
- 飼い猫がいるときの対策
- 飼い猫以外に気をつけること
これらを順番にお伝えしますので、妊娠の可能性がある方、妊婦の方は一読していただけたら幸いです。
トキソプラズマ症とは
トキソプラズマ症とは、トキソプラズマという寄生虫によって引き起こされる病気。
全人類の3分の1以上(数十億人)が感染しているとされています。
健康な人が感染しても、何らかの症状があらわれない、もしくは症状が出たとしても軽度であったりするのが通常です。
一度感染すると、生涯にわたり保虫者となります。
トキソプラズマの妊婦・胎児への影響
健常な人が感染しても、影響はほとんどありません。
しかし、妊婦は違います。
妊娠中の女性が感染した場合、胎盤を通して胎児に感染し重篤な影響をもたらします。
トキソプラズマに初感染した妊婦が影響を受ける
ただし、すでにトキソプラズマ症に罹患した経験があった場合、保虫者となるものの体に抗体ができているため以降は発症することなく、胎児に感染するリスクはないとされています。
重要なのは「妊娠中にトキソプラズマに初感染」した場合です。
胎児への感染率と影響
妊娠中にトキソプラズマに初感染した場合、胎児への感染率は妊娠末期になるほど上がるといわれています。
しかし、重症度は妊娠初期ほど高いため、妊娠初期ほど気をつける必要があります。
たとえば、死産や自然流産を引き起こしたり、出産ができたとしても子供には精神遅滞や視力障害、脳性麻痺といった重篤な症状をもたらす可能性が高いです。
トキソプラズマの感染経路
トキソプラズマの感染は、経口感染です。
経口感染とはウイルスや細菌に汚染されている食べ物や生水を加熱処理しないまま口にすることで感染することです。
また、ウイルスや細菌が付着した手で飲食した場合にも感染する場合があります。
空気感染や人から人への感染(妊婦から胎児への感染は除く)、経皮感染(蚊にさされたり、動物にかまれることで感染すること)はありません。
トキソプラズマが潜む場所
トキソプラズマは、生肉や加熱の不十分な食肉(レア、生ハム、サラミなど)に含まれている可能性があります。
もしくは、猫科の糞に含まれている可能性があります。
そのため、猫が入る可能性のある砂場や花壇、処理をしていない井戸水やわき水といった生水には、トキソプラズマが潜んでいる可能性があります。
猫とトキソプラズマの因果関係
猫科の動物は、トキソプラズマに初感染すると、糞の中にトキソプラズマのオーシスト(原虫の卵のようなもの)を排泄します。
オーシストはマイナス20度の環境であっても1か月程度生存可能。次亜塩素酸やエタノールを含む多くの消毒剤が無効など、とても頑丈です。
猫科以外の動物の糞には含まれない
トキソプラズマは人間だけでなく、ほぼすべての哺乳類や鳥類に感染することができます。
しかし、この中で猫科だけがオーシストを排泄することができます。
それ以外の動物は体外に排出することなく体内に潜むだけなので、その肉を口にする以外で感染することはありません(ただし、母子の場合は胎盤を通じて感染することがある)。
注意するのは初感染・未感染の猫のみ
すべての猫がオーシストを排泄するわけではありません。
オーシストを排出するのは、猫が初感染して数日~およそ2週間までの間のみです。
また、排出されたオーシストが成熟して感染できる状態になるまで、少なくとも24時間がかかるといわれています。
そのため、初感染した猫が近くにいても、糞の処理をこまめに実施すれば感染の可能性を低くできます。
飼い猫がいる場合の対策
前述したとおり、すべての猫に注意をはらう必要はありません。
- トキソプラズマの感染歴がない妊婦
- トキソプラズマの感染歴がない猫
上記のケースで、猫が初感染した場合は気をつけないといけません。
もしも飼い猫がいる場合は、まずは妊婦がトキソプラズマに感染歴があるかを確認し、もしもない場合は飼い猫に感染歴があるかどうかを確認しましょう。
どちらかに感染歴があるならば、飼い猫に対しては普通に接していても大丈夫といえます。
飼い猫・妊婦どちらも未感染だった場合
飼い猫、妊婦どちらもトキソプラズマに感染したことがない場合は、少し注意が必要です。
まず、飼い猫が感染しないために、生肉などの餌を与えるのは控えましょう。
また、ほかの猫(外に出入りしたり、生肉を食べる猫)が初感染し、その猫の糞を通して感染する可能性もあるため、その猫との接触や外に出すのも控えさせてください。
妊婦自身は、念のため猫のトイレ処理は他の人に任せてください。
それが難しい場合は、直接手に触れないようにビニール手袋を着用して処理をしましょう。
なお、猫のトイレ処理はできれば24時間以内、かつ、熱湯消毒を毎回おこなうと安心です。
飼い猫以外に未感染の妊婦が注意すること
トキソプラズマの感染歴がない妊婦は、当然ながら「トキソプラズマの感染経路」の項目でお伝えした内容に注意しなければなりません。
まとめると、以下が挙げられます。
- 生肉や非加熱食品は口にしない(肉はしっかりと加熱する。生ハム・レア・サラミはNG)
- 調理器具は肉用と野菜用(生食用)で分ける
- ガーデニングや砂場には、直接手で触らない
- 井戸水やわき水は口にしない
- 砂場や井戸水に触れた人(小さな子供など)の手から経口摂取しないよう注意をはらう
- 未感染の飼い猫に注意をはらう(「飼い猫がいる場合の対策」の項目参照)
- 野生の猫(外を行き来している猫)に触れない、糞に近寄らない
妊娠して不安だからと、安易に飼い猫を手放したり、傷つけないよう注意をしてください。
しっかりとした知識と予防で対策をしてくださいね。
【参考サイト】