いま育児休業で休んでいる方、これから求職しようとしている方。
そうした方が気になるのが、保育園には何歳から入れるのか、入れやすい年齢(学年)はあるのかだと思います。
とくに待機児童が多い地域では、お子さんの年齢によってはほぼ無理。
確実に待機児童の仲間入りとなってしまうため、保育園に入れるタイミングは重要だと言えます。
今回は、
- 何歳からが一番保育園に入りやすいのか
- どうすれば保育園に入りやすいのか
- 例外:狙い目はあるのか
こうした気になるポイントについて、待機児童と認可保育所に子供たちを入所(入園)させた実体験や公的データを元に回答(一部推測も含む)します。
保育園には何歳から?入園しやすい年齢や時期
結論からいうと、
保育園に入りやすいのは、ずばり4月の0歳児クラス
です。
0歳クラスの根拠
0歳児クラスが入りやすい理由というのは、厚生労働省や各メディアなどの調査からも明らかです。
▼黄色枠の箇所は1歳・2歳が待機児童が多いという調査結果の話なので、面倒は人は次の項目まで飛ばし読みしても大丈夫です。
厚生労働省の「保育所等関連状況取りまとめ(平成31年4月1日)」によると、31年度の待機児童数は以下のとおり。
低年齢児(0~2歳) | 14,749人(87.9%) |
3歳以上児 | 2,023人(12.1%) |
さらに「低年齢児(0~2歳) 14,749人 (87.9%)」の内訳を見てみると、以下のとおり記されています。
0歳児 | 2,047人(12.2%) |
1・2歳児 | 12,702人(75.7%) |
「12,702人 (75.7%)」は1歳児と2歳児の合計数で書かれているため、0歳児の待機児童数よりも大きくなるのは当たり前かもしれません。
それでもおよそ6倍にあたる数字なので、いかに多くの待機児童を抱えているかがわかります。
1歳児クラスに待機児童が集中する理由
1歳児クラスに待機児童が集中する理由は、「育休の期間」「日が経つごとに入園希望者が増える傾向にある」が関係しています。
育休の期間について
保育園利用を希望する多くの方が、育児休業(育休)を取得されています。
さらに1歳半でも無理だった場合は、2歳まで延長が可能となります。
なお、公務員の場合は3年の育休期間があります。
一定の条件とは、以下の条件などがあたります。
(詳しくは「育児・介護休業等に関する 規則の規定例/厚生労働省」参照)
- 保育所などに入所を希望しているが、入所できなかった場合(不承諾をもらっている場合)
- 育休期間後に子供を養育する予定であった配偶者が、死亡や負傷、疾病などの事情によって、子供を養育することできなくなった場合
育休はギリギリ(子供が1歳になるとき)まで取りたい方の場合は、年度途中で入園申し込みします。
日が経つごとに入園希望者は増える
0歳児クラスであっても、生後すぐの預かりは受け付けていません。
大体「生後●日目以降からの預かり」「生後●か月以降からの預かり」といった一定のルールを設けています。
一般的なのは以下の2通りです。
- 生後57日以降からの預かり
- 生後6か月以降からの預かり
上記以外のルールも存在し、生後8か月以降、0歳児の受け入れはなし(1歳児クラスから)、といったところもあります。
ココがポイント
そういった方はお子さんの月齢が上がったあと、年度途中、もしくは翌年度で入園申請するはずです。
結果、0歳児クラスの場合、時間が経てば経つほど入園希望者は増えてくる傾向にあります。
年度途中の入園は厳しい
待機児童が多い地域の場合、年度の途中で入園するのはかなり難しいです。
申し込んだ人ほとんどが不承諾通知をもらい、育休延長(もしくは認可外保育園への保活)をしながら、次年度の4月入園(1歳児クラス)への申請を出すことになるはずです。
ココがポイント
そのため0歳児よりも応募間口が広く、0歳児で入れなかった人+もともと4月入園狙いだった人などが殺到します。
また、0歳児から入園している児童はほぼ自動的にそのまま上のクラスへ。
1歳児クラスは、0歳児よりも受け入れ人数が少し増えますが、それでもわずかな人数です。
例を挙げてみると
0歳児クラスが全員上のクラスに行った場合、1歳児クラスの新規受け入れ人数はわずか5人です。
そこに入り込めるかが難しく、また、多くの自治体でシングル世帯、子供が複数いる世帯、兄弟・姉妹児がすでに通っている世帯が優遇されるようになっているので、単純にフルタイム共働きだけの加点しかない場合は狭き門となっています。
結果、待機児童が0歳児クラスよりも増加傾向にあります。
2歳児クラスも狭き門
2歳児クラスについても同様に狭き門です。
ココがポイント
例を挙げてみると
そのため、競争倍率は依然として高いままになります。
3歳児クラス以降は、待機児童が減っている理由
さきほどの厚生労働省のデータを見てのとおり、3歳児クラス以降は、待機児童が減っています。これは3歳児からは幼稚園を希望する人もいるため、保育園の入園希望者自体が減る傾向があるのも一因です。
推測も兼ねるのですが、3歳児の入園希望者が減るのは以下の理由が挙げられるのではないでしょうか。
- 新年度(4月)の保育園の入園結果が出るのが、大体1月~3月
→ しかし多くの幼稚園では、そのわかる前に入園手続き・入園金・制服購入などをする必要がある
→ そのため、ギリギリまで保育園の結果がわかるよりか、確実な幼稚園を希望する人が多くいる - 幼稚園の入園手続きをしつつも、保育園の入園希望を出していた場合
→ もしも4月入園が叶わず、幼稚園に入園した場合、途中で保育園に切り替えるのは子供の混乱を招くとして、保育園を諦める人もいる
4歳児以降については、すでに幼稚園や何らかの保育の援助を受けており、このまま卒園までで良いと考える世帯が多く、そもそも保育園への希望を出さないのかもしれません。
3歳児の壁
ただし、3歳児クラスについては近年「3歳の壁」と呼ばれ、低年齢児と同じように待機児童が増えていると言われています。
その理由は、小規模保育所・家庭保育所などといった存在も理由のひとつとなっているはずです。待機児童問題に取り組んだ結果、小規模保育所など増えましたが、そこでは0歳~2歳児クラスまでしか保育できません。
そのため、小規模保育所を卒園した児童たちは、すぐに5歳児まで預けてくれる保育園への希望を出す必要があります。しかし、小規模保育所の増加に比べて、5歳児まで預かってくれる保育園の数はあまり増えていません。
また、保育無償化の制度によって、3歳児クラスから保育料が無料になりました。給食費はかかりますが、経済面でのメリットは大きいです。
これらの事情によって、3歳児でも希望者が増え、待機児童も増える。結果、「3歳(児)の壁」ができ上がっています。
どうすれば保育園に入りやすいのか
保育園に入るには、以下の項目でポイントに考えましょう。
- 共働き・フルタイム
- 通えそうな保育園はすべて記入(小規模保育所も考慮する)
- 0歳児、4月入園を目指すもしも不承諾となった場合は…
- 認可外保育園や有料の保育サービスを利用し、点数を加算させる
共働き・フルタイム
パートタイム、求職中の方にとっては厳しいかもしれないのですが、できるだけ共働き・フルタイム(8時間以上の労働時間)で雇用契約を結んでいてください。なお、シングルの人の場合は、ご本人だけフルタイムの雇用契約を結んでいれば大丈夫です。
また、育休で復帰を目指す人はさらに点数が加算される点にも留意する必要があります。
- 育休明けでフルタイム復帰
- 新たにフルタイムで入社
このふたつのケースだと、育休明けの人のほうが点数が高いです。
注意
お住まいの自治体・役所窓口にご確認ください。
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通えそうな保育園はすべて記入(小規模保育所も考慮する)
通える範囲の保育園はすべて書くようにしましょう。
ただし実際通うことになった時点になって、「やはり無理だった…」「負担が大きすぎる」なんてことがないように、無理のない範囲で書いてください。
入園決定後に辞退をした場合、次回から申請ポイントを減点される可能性もあるので注意が必要です。
なお、小規模保育所は0歳児~2歳児クラスまでで、3歳になったら再度保活する必要がありますが、そういう世帯は大きく加点される可能性があります。
(加点有無は自治体によって異なるので、一度ご確認ください)
- どこにも入っていない世帯よりかは点数が高くなる可能性があること
- 3歳児からは幼稚園も視野に入れているかもしれない
上記の可能性を考えると、小規模保育所を無視するのはチャンスを無駄にしているかもしれません。
小規模保育所に通うメリットが見当たらない、どうしてもその園は嫌だ、という理由以外は、検討のひとつに入れてみても良いかと思います。
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0歳児、4月入園を目指す
できれば育休ギリギリまで一緒にいたい方が多いかもしれませんが、お子さんが4月時点で入園対象を満たすのであれば、育休を切り上げるつもりで4月の入園申請をしておきましょう。
それ以降は上で書いたとおり、本当に狭き門になります。
認可外保育所(保育園)や有料の保育サービスを利用する
認可外の保育園を利用していたり、定期的に有料の保育・預かりサービス(ベビーシッター)などを利用している世帯については、加算される可能性があります。それを見越してサービスを利用するのも手です。
ただし、費用はかなりかかります。
自治体によっては、そうした利用に対する補助金を出すところもあるので、一度お住まいの自治体がどういった補助をしているか確認をしてみると良いでしょう。
例外:狙い目はあるのか
狙い目はずばり「新設園」です。
待機児童楷書のため、新設園が多くなってきています。
新しい保育園だと不安もあると思いますが、すでにほかに保育園を運営しているケースも多いです。
姉妹園がある保育園の場合は、まずはそちらに電話や問い合わせをして、保育園や先生・経営者の雰囲気、方針などを確認のうえ、申し込まれると良いでしょう。
年度途中に開園される新設園も多く、すべての学年で新規募集となるため、すでにある保育園よりか競争倍率は低くなります。
見落としがちな注意点
つぎに、見落としがちな注意点をお伝えします。
5歳児まで預かる保育園ほど、兄弟姉妹児が多い可能性がある
点数は子供が増えるごとに加算される傾向にあります。
つまり、子供人数が多い世帯のほうが点数は高く入りやすいです。
また、兄弟姉妹が希望園に通っているならば、加点はされないものの、同点数だったときの優先順位は兄弟姉妹がいる世帯とする自治体もあります。
ここがポイント
5歳児まで保育ができる保育園の場合、在園児童が卒園するまでの間に、もう1子増える世帯の確率が高いです。
そして、下の子を1歳児クラスから入園させようとする世帯も多いため、1歳児クラスの新規枠は半分が在園児の弟妹によって埋まるケースもあります。
できれば5歳児まで保育できる園が良いと思っても、こうした事情で小規模より厳しいケースがあることを留意しておきましょう。
点数の加算方法は変わる可能性がある
点数の加算方法は変わる可能性があります。
たとえばある自治体では、翌年度の申請時より、以下の条件で満たす世帯に対して、大幅な加点をおこないました。
- その自治体が管轄する地域で働いている(地域内の保育園と雇用契約を結んでいる)保育士
- 現在育休中で、復帰(就業)するために入園申請をおこなう
これによる点数はとても大きく、ほかの人では太刀打ちできないほどでした。
ここがポイント
こうした加算方法の変更により、例年までなら十分に狙えた世帯でも落ちる可能性が高まります。
たとえば、すでに兄が在園・両親はフルタイムの雇用形態。1歳児枠は数人募集でも、十分に入れると思い、あえて0歳児4月入園を見送ったとします。
しかし、それはあくまで今年度の加算方法での話でのため、翌年度入れる保証はどこにもありません。
翌年度の入園方法や点数内容が発表されるのは、だいたい9月中旬くらいからです。
そのときに加算方法が変わったことを知っても、なにも対策ができないまま、新年度への入園希望を出すしかないのです。
保育を取り巻く状況は年々変わる可能性有
何歳からが入りやすいかについては、いまのところ「0歳4月入園」だと伝えましたが、これも制度や保育園の開園スピードによっては変わってくるかもしれません。
行政もできるだけ待機児童問題を解決しようと動いているので、今回お伝えした内容を見て「わが家の保活は絶望的だ…」と諦めるのではなく、まずはお住まいの地域での最新情報を確認のうえ、ご自身の家でどういった保活をするのかを検討してもらえたらと思います。