前回、急に閉園する保育園についてお伝えしました。
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突然閉園する保育園!事例や理由。経営規模に差はあるのか
こんにちは、とはのです。 保育園が突然閉園するケースが増えています。 なぜこのようなことが起こるのでしょうか。 今回は2019年度~2020年度までのケースを中 ...
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しかし、急に閉園する保育園がある一方、認可保育所・小規模保育施設は各所で開園され続けています。
次にその点について考えてみたいと思います。
保育士の懸念点・問題
まずは保育園を支える保育士さんについて、考えてみましょう。
保育士がより良い環境を求めて、転職をくり返す
より良い環境を求めて転職するのは、会社員だけではありません。
保育園の数が増えたことにより、選択の自由が増えた保育士が転職するケースが増えています。
これにより保育の質が安定しない可能性や、保育園・園長の人柄・思想よりも待遇面にのみ重きをおく保育士が増える可能性もあります。
保育士の数が足りないため、取り合いの状況となる
認可保育所の準備が整い、いざ求人をかけても保育士がうまく集まらない可能性が高まります。
また、上記のとおり保育士が転職する可能性が高まっている今、急遽穴があく(保育士が退職)してしまうかもしれません。
そしてその時、ギリギリの人数の保育士で運営した場合…
- 抜けた穴の補充をかけてもすぐには集まらない
- 結果、認可保育所の規定とされている児童人数に対する保育士の人数が足らない
- 運営を縮小せざるを得ない
といった問題が発生するケースもあります。
経験が浅い保育士ばかりが揃う可能性がある
ある一定期間、同じ保育園で勤めている保育士であれば、転職する機会はあまりないかと思います。
つまり、ベテラン保育士ほど転職せず、新規園では経験が浅い保育士ばかりが揃ってしまう可能性もあります。
経験が浅い保育士が悪いわけではありません。
しかし、過去の経験から活かせるイベントや段取りの知識もないため、1からみんなで考える必要があったり、不測の事態が起きた時に対処しづらかったりするなど、いくつか懸念点が挙げられます。
それによって、保育士一人ひとりに対する仕事量・責務が増え、トラブルも出やすくなるかもしれません。
保育園側の問題
保育現場について知らない経営者が増える可能性
もともと保育園というと、慈善事業や子供のためを思い、開園するケースが多かったように思います。
しかし、行政からの補助が出るなど、経営面でのメリットのみを考え開園するケースも増えてきています。
そのため、保育の現場をあまり知らない経営者が代表・園長になるケースも。
うまくいくケースもあれば、現場の保育士と衝突するケースが出てくる可能性があります。
認可外・認証保育の継続が厳しくなる
認可保育所はいろいろと条件が定められているものの、行政からの補助が受けられるのがメリットです。
そのため、経営は認可外や認証に比べたら安定している方だといえます。
また、行政が認めた保育園のほうが、保護者・保育士ともに希望する人が多く、人は集まりやすいです。
ポイント
さらに育休期間の延長の動きにより、認可保育所に入れるまで延長する世帯も増えています。
一方、補助もなく、園児も集まりづらい認可外は、経営が行き詰まりやすくなってしまいます。
そのため、閉園しか選択ができない可能性も。
将来的な児童の預け先の問題
小規模保育所の増加・3歳児以上、小学校以降の問題
新設される保育所は、5歳までの保育所よりも0歳~2歳までを預かる小規模保育所のほうが多い傾向です。
しかし、小規模保育のおかげで0~2歳児の待機児童は減ったとしても、次に3歳児の壁と呼ばれる問題が浮上します。
そのため、5歳児まで預かる保育園もある一定数は増えなければ、根本的な解決には至らないと思われます。
そして保育園が増え、少子化が改善されたとしたら、次は卒園後・学童の預かり人数の枠も広げる動きを作らないといけなくなってくるはずです。
認可保育所も競争化していく可能性
希望者がすべて認可保育所に入れるくらい、認可保育所が開設することになったら、どういったことが起こるでしょう。
- 定員割れする保育園も出てくる
- 「選ぶ権利は利用する側にある=利用者の立場が上」だと感じる人がでてくる
上記のような可能性は、当然出てくるはずです。
そして定員の確保のために、保育の質だけでなく、そのほか独自のサービスにも力を入れていかないと、認可といえども経営が厳しくなります。
「利用者様は神様です」
大げさかもしれませんが、そんな風潮になっていくかもしれません。