こんにちは、とはのです。
突然ですが、みなさんは「家庭学習をするうえで、紙とタブレットが選択できるとしたらどちらを選びますか?」。
最近ではタブレット教材も増えてきています。また、政府のGIGAスクール構想やコロナ禍も後押しして、学校でもタブレット配布・家庭での学習に使用されるようになってきました。ここ数年でデジタル教材に注目が集まる機会が増えてきたといえます。では、そのうえで「子供の家庭学習の教材選び。紙とタブレットのどちらを重視するのか」。今回その調査結果が判明したのでお伝えします。
小学生の学習に関する調査を実施
今回参考にしたのは、学研教育総合研究所による「小学生白書Web版 2022年9月調査」です。
調査概要
- 調査方法
インターネット調査 - 調査対象
小学1年生から小学6年生まで。各学年の男女100人ずつとその保護者の、合計1,200組を対象 - 調査期間
2022年9月2日(金)~9月6日(火)
調査内容
調査内容は
- 日常生活
起床/就寝時刻、好き/嫌いな食べ物、おこづかい、読書量など - メディア・通信機器
通信機器に関して、教育や学習の情報の入手先など - 将来
将来就きたい職業、親が将来就かせたい職業など - 習い事
習い事の種類やきっかけなど - 学習
好き/嫌いな教科、家庭学習の教材選び/塾選びで重視することなど - その他
このなかで今回テーマとした「紙とタブレットどちらを重視しているのか」は、「学習」カテゴリの「家庭学習の教材選びで重視すること」にあたります。
「家庭学習の教材選びで重視されていること」が判明
家庭学習の教材選びで重視することはなにか(復習回答可)に関する結果は、以下のとおり。
( ↑ クリックで拡大表示されます)
「小学生白書Web版 学研教育総合研究所|学研」より引用
圧倒的とはいいませんが、パソコンやタブレット学習であることが一番重視されているという結果となりました。
- パソコンやタブレットで学習できる(27.7%)
- 一人で自習できるよう、解説が充実している(25.2%)
- 紙の教材である(24.0%)
- わからないことを質問できる仕組みがある(24.0%)
- 価格が安い(23.2%)
調査結果を受けて、学研教育研究所は「学校や塾から配布されたパソコン・タブレット」の利用率が高いにも関わらず、依然として紙の教材も人気があるのは興味深い」「忙しい親の手を借りずとも、子どもが1人で自習できる教材が望まれている」とまとめています。
「パソコン・タブレット学習>紙」に対する個人意見
ここからは個人的見解です。
学研教育研究所では紙教材がいまだ一定の指示があることに対して意外ともいえるようなコメントを残していますが、個人的にはその逆。紙教材のほうがなんだかんだとパソコン・タブレット学習よりまだ上位に位置していると思っていました。そのため、結果を見た第一印象は「意外」でした。
デジタル機器による学習が活躍する場面
パソコンやタブレット学習が活躍する場面もあります。
私がデジタル機器のほうが優れていると感じた場合は
- 耳による学習(英会話・発音など)
英会話など聞く力・話す力を養うときはデジタル機器の学習のほうが優位 - 視覚・思考を使った学習
空間図形やパズル問題など視覚・思考・感覚で解く問題。「Think!Think!」アプリに含まれる問題は、テキストだと難しいと感じる - 先取り学習
学校で習っていない分野を先取りする場合は、解説映像もあったほうが理解しやすい - 難易度が高い問題の解説
文字だけより細かい説明が追加されている可能性が高いため、理解しやすい - 参考書・辞書の持ち運び
調べ物や読み物を確認するときなどは適している。紙媒体とは違い、一定の重さしか必要としない
たとえば、文字・テキストではなく、実際の映像やCGを使った画面のほうがわかりやすい授業もあります。また、解説動画も非常にわかりやすいですね。先取り学習や難易度をあげた勉強の場合は、映像で見たほうが理解しやすいかもしれません。さらにゲーム要素を入れ込むなど飽きがこない工夫もできるので、お子さんによってはパソコンやタブレットでの学習のほうが向いているケースもあります。
紙による学習の強み
一方紙による学習の強みも多いと思います。
私が挙げるとしたら
- 教材・ノートを広げて学習できる
- 自分なりのカスタマイズが可能(欄外のメモ書き・用紙追加・付箋)
- ミスや計算途中の悩みがわかりやすい
- 記述のストレスがない、誤判定がない
- ズルがしずらい
- 記憶に残りやすい
ほかにもいくつかありますが、ざっとでも書いただけでも上記が挙げられます。
教材・ノートを広げて学習できる
紙教材には、一度に複数の画面(教材・ノート)を広げて学習できるメリットがあります。
もちろん、パソコンやタブレットの場合は、見たいものがすぐに発見できたり、かさばる心配もないので、違った面でメリットは多いと思います。
自分なりのカスタマイズが可能(欄外のメモ書き・用紙追加・付箋)
欄外にメモ書きを書いたり、用紙を追加したり。付箋をすることで自分が見たいところなどを視覚的にすぐに気づくこともできます。
これらはパソコン・タブレットでも可能なことがありますが、紙教材のほうがスムーズでしょう。見たいところを加えたり、不要なところを抜かしたり、必要なところだけルーズリーフにまとめたりなど、自分が思ったときに自由にカスタマイズできるので、お子さんごとにあった勉強方法を確立できます。
ミスや計算途中の悩みがわかりやすい
紙教材の場合、ミスしたところを消すと消し残りや筆記跡が残るというデメリットがあります。しかし、そうしたミスや計算途中の悩み・メモ書きを残しておきたいこともあるのではないでしょうか。
パソコンやタブレットでも残すことがありますが、スペースが限られているため書き足りなかったり、書けたとしても1画面におさまらずスライドして書き残す必要があるケースも出てきます。また、次回同じ問題を解くときに紙の場合は問題のところだけコピーして解けたり、1回目と2回目に解いた計算式を残したりするなども可能です。
記述のストレスがない、誤判定がない
タブレット学習の場合
- 思ったような記述にならない・位置がずれる
- 判定がおかしい
- ペンがなかなか反応しない
といったケースがたまに見受けられます。
ズルがしずらい
デジタル機器による学習の場合、ある程度適当に書いたり答えたりしたものが正解となるケースがあります。ある意味ズルが起こりやすい環境ともいえます。
たとえひとりで学習できるシステムだとしても、適当にボタンを押して先に進めてしまっては意味がありません。これは、タブレット学習でありがちな「わかったつもりでわかっていない」という状況を作ることになってしまいます。少なくとも紙であれば最初のうちは親の目を通して正否がおこなわれるため、そうしたことも防げるはずです。
記憶に残りやすい
紙に記述するとき、パソコンやタブレットで入力するよりも時間がかかる傾向があります。しかし、紙は時間がかかって手間がかかる分、記憶に残りやすいです。
タブレット学習であっても、実際にペンで書き込んで答える学習方法であれば、通常のクリックやキーボード入力よりかは記憶にはのこるかもしれません。しかし、紙の場合はノートのどの部分に書いたかなども記憶に残り、思い出すときのきっかけにもなります。デジタル機器では常に同じ画面内で処理をおこなうため、記憶が残りづらいのではないでしょうか。
個人的にはデジタル機器は必須ではない
もしも自分が「家庭学習の教材選びで重視することはなにか(復習回答可)」の回答するのであれば、
- パソコンやタブレットで学習できる(27.7%)
- 一人で自習できるよう、解説が充実している(25.2%)
- 紙の教材である(24.0%)
- わからないことを質問できる仕組みがある(24.0%)
- 価格が安い(23.2%)
の順ではなく、
- 紙の教材である
- 一人で自習できるよう、解説が充実している(※ただし小学校中学年以降)
- わからないことを質問できる仕組みがある(※ただし小学校中学年以降)
- 価格が安い
- パソコンやタブレットで学習できる
かなと感じます。復習回答可なので、順番は関係ないかもしれませんが。
低年齢児ほどパソコンやタブレットは補佐的位置づけに
また、「パソコンやタブレットで学習できる」については、私のなかではどちらかといえば「パソコンやタブレットでも学習できる」という意味合いが強いです。
一番良いのは併用した使い方。
デジタル機器による家庭学習の普及のおかげで、
- 英会話などの双方向の授業
- 視覚的な解説・講義動画
など、今までなら実際にその場(教室)に行かないと習えなかったレッスンが家でも受講できるメリットは大きいと思います。それは紙ではどうしてもできないことです。
デジタル機器学習がすぐれている面はデジタル機器を選択し、それ以外は紙学習の補佐的な位置づけで利用する。
あくまでわが家の家庭学習の主軸は紙。
学習しはじめや小学校低学年までの時期はとくに。
実際にオンライン英会話をやっていますが、双方向授業はとても良い刺激になります。そのほか英語アプリも使っていますが、そちらは耳や視覚で英語を覚えるのにも適しています。
しかし、だからといってその2つだけでは、記憶を定着させることは難しいです。書きやつづり、会話した内容などノートや別教材で勉強しないとすぐに忘れてしまいます。
通信教材もタブレット学習が増えてきました。それらが悪いというわけではありません。しかし、その内容によりけり。とくにタブレットでのみすべて完結してしまう教材だった場合、タブレットで学んだことを実際に紙に落として記憶に定着させたり、どこかでアウトプットさせたりしないと、せっかくの学習も活かしきれず薄れていってしまうのではと感じています。
「一人で自習できるよう、解説が充実している」「質問できる仕組み」を重要視するのは、小学校中学年以降
「一人で自習できるよう、解説が充実している」「わからないことを質問できる仕組みがある」ことを重視する保護者も多いです。
私も選択しましたが、少なくとも小学校中学年(小学4年あたり)くらいまではこの選択肢に重要度を求めていません。それまでは「親がサポートできるような解説が充実している」のほうが重要視するべき事項だと思われます。
そう感じたのは小学1年から入ったZ会でのサポートブック(保護者向けの解答冊子)と出会ったから。
そこには問題の正誤だけでなく、子供へのサポート方法、たとえ△の答えでもどの部分が理解できていれば褒められるべきことといったアドバイス、プラスアルファで出してみる問題など、とても細かく書かれています。もしも子供が一人で丸つけできる環境・解説のみだったら、子供のレベルにあわせた範囲内での解説しかないため実力も伸びづらいと感じます。
以上、個人的意見ですが家庭学習においてデジタル機器は「必須ではない」(耳や視覚を使った学習は除く)。だが、もしもあれば「紙と併用して活用する」です。
【参考サイト】