赤ちゃんの授乳をしながらウトウト。
こうした経験はありませんか?
とくに新生児や生後6か月に満たない赤ちゃんを育てるときは、睡眠時間の確保もままなりません。
そうしたなか添い乳と呼ばれる行為をしたとき、赤ちゃんを窒息死させるリスクがあると警鐘を鳴らしています。
添い乳・添い寝とは。添い乳のメリット
添い乳(そいちち)とは、ママが赤ちゃんと寝転び、お互い向き合うような形になって授乳することです。
添い寝(そいね)とは、赤ちゃんに寄り添って寝ることです。
添い乳をしたまま添い寝する人が多いため勘違いする人もいますが、「添い乳=添い寝」ではありません。
添い乳だけする人もいれば、添い寝だけする人もいます。
添い乳のメリット
添い乳のメリットは2つ。
- 座って授乳することと比べて、横になった状態で授乳できるため、ママの体の負担が軽減される
- 赤ちゃんが寝かしつけしやすい
赤ちゃんを抱えながら授乳するのは、腰や腕に負担がかかります。
また、授乳したまま寝る赤ちゃんも多く、座って授乳した場合は体勢を変えることによってせっかく寝たのに起こしてしまう事態もすくなくありません。
赤ちゃんを落ち着かせる意味でも、おっぱいを加えさせたまま寝かしつけするママもいるようです。
添い乳のあと、そのまま添い寝。げっぷはどうする?
これには賛否両論あるようです。
添い乳の場合はそのまま寝かしつけして大丈夫という医療従事者もいますが、赤ちゃんの個人差もあります。
吐き戻しの多い子、ゲップしないと眠りが浅い子、ガスがお腹に溜まりやすい子、など、一概にみんな大丈夫とは言えないでしょう。
ネットでは発言の責任がどこにあるのかわからない部分もあるので、気になる方は一度かかりつけの小児科などにお尋ねすると安心です。
添い乳のリスクと危険性
添い乳にはメリットがありますが、リスクもあります。
その筆頭となるのが「窒息死」の危険性です。
母親による窒息死
添い乳はママのおっぱいと赤ちゃんの口が密着した状態で、お互い横になっています。
当然ながらママは赤ちゃんがおっぱいをくわえやすいように、体をやや赤ちゃんの方に前のめりに向けている状態です。
そうしたときにママがウトウトと眠りに入ってしまって、赤ちゃんにかぶさることがあります。
結果、赤ちゃんは顔全体がママに圧迫されて息を吸うことができず、最悪の事態(窒息死)を引き起こすことに。
ただでさえ睡眠不足で疲れている時期。
横になっての授乳はママもそのまま寝てしまう可能性が高いため、添い乳をするときの姿勢には注意を払うべきだといえます。
NHKでも特集された「添い乳での窒息死」
添い乳の危険性はNHKでも特集されました。
情報は『“添い乳”で赤ちゃん窒息死相次ぐ 授乳に注意』でも見ることができるので、今後新生児を育てる可能性がある人は一度見てみると良いかと思います。
一部内容を抜粋すると、滋賀県による調査結果によって、消費者庁が把握している数値よりも多くの赤ちゃんが“添い乳”が原因でなくなっているのではとの考えを持つ医師の話も載っています。
それに伴い、授乳時の添い寝に関するリスクを促す動きも出ているようです。
添い寝や授乳時も窒息死の危険性はある
赤ちゃんの窒息死について、危険があるのは添い乳だけではありません。
添い寝や授乳時にも危険はあります。
授乳時の危険
実際に私は座りながら授乳をしていましたが、ほとんどまともに眠れていない日が何日も続き、授乳中たまに前のめりになってフッと意識を無くしそうになることもありました。
ミルクのときは手から瓶が離れてしまうくらいで赤ちゃんに覆いかぶさるようなことはありませんでしたが、母乳のときは危険度が違います。
最初から胸を赤ちゃんの口元に当てているので、前のめりになると口や鼻を塞ぎやすく、必要以上に赤ちゃんに胸が当たっていて、そのまま意識をなくしていたら危なかったと思うことも。
母乳は赤ちゃんとのコミュニケーションのひとつで、母親も多幸感に包まれやすいですが、授乳時でもこうした危険があることを知っておいたほうが良いです。
添い寝の危険
添い寝がどれほど危険かは以下の項目にもよります。
- 赤ちゃんとの距離
- 添い寝する側の寝相
- 寝具や周りの環境
- 赤ちゃんの月齢(SIDSの危険性)
前述しましたが添い乳した姿勢で添い寝する場合は、密着した状態のため危険度が高いでしょう。
また、体を傾けたまま寝るとき、倒れる方向によっては赤ちゃんに覆いかぶさるような距離や姿勢で寝ることも危ないです。
寝相が悪い人は、足や腕が赤ちゃんにぶつかったり、上に乗っからないようにする必要もあります。
とくに上の子と一緒のお布団で寝かすときは十分に注意する必要があります。
お昼寝のときはこまめに大人が確認したり、夜のときは間に大人が寝て防波堤になるなど。
それができないときは、布団を分けたほうが得策です。
寝具や周りの環境にも注意が必要です。
- クッション性が高い布団や枕は、赤ちゃんの口元を塞ぎやすい
- 赤ちゃんが口元に引き寄せやすく覆いやすいブランケットやぬいぐるみが近くにある
とくに寝苦しい夜など、無意識に蹴った大人用の布団が赤ちゃんにかからないともいいきれません。
その点も考慮しておくべきでしょう。
SIDSの危険性
添い寝の場合、厚着に加えて大人の布団をかけたりや大人と密着しすぎたりすると、赤ちゃんに熱がこもりすぎて「乳幼児突然死症候群(SIDS)」を発症する可能性もあるといいます。
SIDSとは、ある日突然赤ちゃんが亡くなってしまう症状のこと。
原因不明なことも多いですが、体の体温が熱くなりすぎるのも原因のひとつではといわれています。
そのほか、上記の窒息の可能性も含めて、「米国小児科学会」では4か月未満の乳児とは一緒の布団では寝ないことを推奨しています。
育児に関わる人すべてが知っておけばリスクが軽減
添い乳、添い寝、授乳、それぞれにいろんなリスクが潜んでいます。
それを把握して未然に防ぐことは大切なことですが、これらすべてを母親が一人が担うには難しいです。
NHKの特集でも言っていたのですが、「家族全員でリスクを共有すること」が一番だといえます。
実際の対策は簡単ではありませんが、伊藤さんは、決して母親のワンオペ育児にさせないことが重要だと指摘します。
パートナーの側も夜間授乳を代わりに行うなど、家族の事情に応じてみんなで育児をし、赤ちゃんを守ってほしいと訴えています。
「“添い乳”で赤ちゃん窒息死相次ぐ 授乳に注意/NHK」より引用
「参考サイト」で紹介したサイトについては、出産前に一度育児に関わる人全員で一読してみてくださいね。
【参考サイト】