こんにちは、とはのです。
今回は小学校の水泳授業について。
夏も近づき、小学校でもプール授業が開始されてきていますが、昔と内容が変わってきています。
たとえば子供たちの小学校では、年間4~5回しか授業がなく、夏休み中もプールは開放されていません。


そのあたりに触れつつ、子供の学校のケースや昔の水泳授業、泳げない子が増えた原因などにも軽く触れていきます。
小学校のプール・水泳授業。少なくなった原因は?

小学校のプール(水泳)授業。
昔は夏休みもプール開放されて、自由に泳ぎに行けた気がします。
プール授業も週に何回かあった気もするのですが、子供の小学校では年4~5回だけになっていました。
さすがにそこまで少なくなかった気がします。
水泳授業の時間の定めはない
調べてみると、水泳授業の時間の定めはないようです。
しかし、まったく水泳の授業を組み込まなくてよいのかというわけではありません。
学校教育法施行規則第 51 条による小学校の授業時数を見ると、体育の時間数は小1が102時間、小2~小4が105時間、小5・小6が90時間です。
水泳授業の時間の定めはないものの、学習指導要領には水泳指導に関する明記されています。
たとえば低学年を「水遊び」、中学年を「浮く・泳ぐ運動」、高学年から高校までを「水泳」で構成。これらの内容をもとに学校側は時間割を作成するので、水泳授業に対してある一定の時数確保が必要となります。
どのくらいの時数確保をするのかについては、地域によって異なります。
すこし古いデータですが、公益社団法人日本プールアメニティ協会が平成30年3月に出した「学校プールの現状と水泳指導に関する調査」調查報告書」によると、水泳時間の時数は10時間に設定している学校がもっとも多かったです。
なお、「今後の水泳指導の実施方法に関する方針について/葛飾区」によると、この「10時間」は「10単位(コマ)」のことを指しており、1単位45分となっています。
【参考サイト】
プールの授業が少なくなった原因は?

水泳授業の時数の定めがないのはわかりましたが、なぜ昔と今とで授業数が減ったのか。
理由としては以下の要因が挙げられるようです。
- 施設の老朽化
- 維持管理費の負担
- 教員の負担
- 気候変動
施設の老朽化による危険性
まず施設の老朽化。
スポーツ振興法(1961年制定)によって、国が「地方公共団体の設置する学校の水泳プールその他の政令で定めるスポーツ施設の整備に関する経費」の3分の1を補助するようになりました。
さらに東京オリンピック(1964年)などの後押しもあって、1960年代~1970年代にかけて、小中学校の屋外プールが普及したとされています。
そのため、設置から50年以上経っている施設も少なくありません。
財務省令「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」によると、水泳プールの耐用年数は30年とされていることからも、老朽化による危険性をはらんでいるといえます。
【参考サイト】
維持管理費の負担
次に維持管理費の負担です。
小学校の水泳授業の維持管理費については、水泳授業のあり方を議題とする自治体の資料を見ると、大体が問題として取り上げられています。
過去と現在の維持管理費の推移や全国的なデータや統計は見当たりませんでしたが、昨今の光熱費・人件費などの値上げ幅を考えると維持管理費も当然ながら上がってきていることが推測できます。
教員の負担
プールの維持管理は、費用のほか教員にも負担を強いています。
たとえば、プールの清掃や水質検査、ろ過装置や開閉の操作や作業、推移の調整やチェックなどです。
そのほか当然ながら水泳授業時は指導だけでなく安全面でも、ほかの授業以上に注意が必要となるため、肉体的・精神的な疲労がかかります。
プールが天候などの理由で中止になったとしても、水質検査や清掃をする必要はあるため、教員負担は変わりません。
また、教員の水泳に関する指導力の問題もあります。
水泳専門のコーチでないにもかかわらず、さまざまなレベルの生徒たちを一度に指導するには限界があります。

気候変動
雨天だけでなく、最近では猛暑日やゲリラ豪雨が発生する回数も増えてきています。
そのため、プール実施の予定日だったものの中止となる日が増えました。
年間の指導計画を立てても、実際にそのとおり実施されないことも多く、数日のために前述した老朽化のための改修や維持管理負担を続けていくかも問題となります。
【参考サイト】
夏休みの水泳指導の実施は任意
夏休み中の水泳教室については、基本任意実施・任意参加です。
年間指導計画などの学校カリキュラムの中には設定されていません。

しかしながら、これらの維持管理や運営は教職員、PTAや地域ボランティアが対応する必要がありました。
さらに、責任の所在や安全面の責任負担も大きいといった問題も発生しています。
近年では、維持管理のコスト、教職員の働き方改革の推進やPTAの廃止などもあって、夏休み中の水泳指導のあり方を見直し、もしくは縮小・廃止する学校も増えてきています。
こうしたことが、「昔と比べてプールの回数が減った」と感じる要因のひとつとなっているかもしれません。
【参考サイト】
現在・子供の学校のケース(民間委託)

前述したとおりの問題(老朽化、コスト、教職員負担)が起こっていた子供の学校。
水泳授業のあり方などの見直しを経て、現在では水泳授業は近隣のスイミングスクールに民間委託しています。

民間委託のメリット
民間委託や民間プールの利用をする学校は増えてきています。
ほかの学校はどういった経緯かはわかりませんが、私の地域では何回も議題や検討をおこなったうえで決定しました。
私の地域では老朽化したプールを整備する費用と、水泳授業を委託するときの費用(指導料、利用料、送迎料金など)がほぼ変わらなかったそうです。
さらに民間委託の場合は、プロのインストラクターが数人ついて、レベルごとに分けたグループごとに指導してくれます。
屋内プールで天候は関係なく、施設は清潔キレイ、さらに男子女子でわかれた更衣室もしっかりしているなどメリットだらけでした。
民間委託のデメリット
デメリットを挙げるとしたら、回数が少ないことくらいでしょうか。
冒頭にもお伝えしましたが、年に4~5回(1回につき2時間授業)しかありません。
ちなみに今年は4回です。学校の水泳授業は年間10時間(10単位)で設定している学校が多いのですが、それにも満たないことが判明。
地域のほぼすべての学校が同じスイミングスクールを使うため、一度におこなうには制限があって、冬に水泳授業をおこなうクラスもあります。

子供の反応
こうした民間委託の指導は、子供の反応も良かったです。
- プロのインストラクターで教え方がうまい
- 子供の扱いに慣れている
- 少人数でレベルに合った指導が受けられるため、上達しやすい
- 水泳に対して恐怖心や拒否感がなくなった、水泳=楽しいの気持ちが大きい
- 施設がキレイ
おそらくわが家だけでなく、ほかの家のお子さんも同じ反応だったのではと感じます。

親の意見
親の立場からみたら、学校プールより民間のほうが良いと思っています。
理由は書いたとおり、清潔、監視の目が多い、設備が整っている、レベルにあった指導など、挙げたらきりがありません。
夏休みの水泳授業も、昨今のゲリラ豪雨や猛暑を考えたら実施できないし、ギリギリ実施できる気温だとしても行かせないと感じます。
また、バタ足・ビート板はともかく、それ以外の泳ぎに関しては学校だけで習得できると思っていません。
昔は手厚く回数も多かったからできたよって人もいるかもしれないですが、私自身は学校の水泳回数についてはとくに異論ないです。
むしろ少ない数でもしっかりした指導を受けれるほうが良いと感じます。
昔の水泳授業と泳げる子が多かった理由
自分が子供のころは、プールサイドで待つときの直射日光で熱くてぐったりしたときもあれば、寒くてガタガタ震えて唇が紫なんて日もありました。
クロールまではスイミングをしていたこともあって学校で泳ぎを教えられた記憶は薄いですが、プールサイドに手を引っかけてバタ足の練習、ビート板、泳げる子はどんどん泳いでいく方針だったように感じます。新しい泳ぎの習得はともかく、水に慣れしたしんだり、基礎的な動きの習得や体力の向上は今の子たちより高かったかもしれません。

当時は習い事の種類も少なく、スイミングスクールに通う子も多かったです。
夏休みの学校プール開放で子供だけで泳ぎに行ったり、市民プールも身近で親が週末に連れて行って泳ぎを教えてくれたりすることもありました。
いま思うと、全体的に「水泳」「プール」が身近だったように感じます。
泳げない子が増えているのは学校のせい?
いまは昔より子供がプールに接する機会がかなり低いと感じます。
近年、「泳げない子が増えてきている」といった話を聞くこともありますが、学校の水泳授業が減ったことだけが問題ではなく、
- 市民プールの老朽化・コスト増による閉鎖
- 共働き世帯の増加で、普段からプールに連れて行く余裕がない
- 習い事の種類が増えてスイミング以外を選択するようになった
- 子供の遊び時間が減った、もしくは遊び時間を水泳以外のものに使うようになった
こうしたことも挙げられると思うので、一概に学校のせいとは言いきれないです。
(追記)泳げない子供が増えたのニュースについて
先日、以下のニュースが取り上げられました。
“泳げない子ども”増加 猛暑でプールの授業“中止”相次ぐ【ひるおび】
暑すぎて水泳の授業が中止になるケースが近年増加しています。 和光大学体育科教育学の制野俊弘教授によると、熱中症の警戒アラートに対する対策は全国的にとられており、水泳の授業の時期も全国的に早まっている傾向にあります。 こうした中、制野教授はプール授業中止の影響などで『泳げない子どもが増えている』と指摘しています。
■「25mクロール」泳げる子どもが減少 埼玉県教育委員会の「令和6年度 学校体育必携」では、 「クロールで25m以上泳げる」児童の割合は、小学校6年生で男子・女子共に2019年には70%を超えていましたが、2023年には女子46.2%、男子54.3%と急激に減少しています。
また、記事には理由も記載されています。
制野教授によると、プール授業“中止”の理由は暑さの他にもあります。
▼高学年の児童が低学年だったとき、コロナ禍でプールの授業がなかった
▼教員の多忙化解消や働き方改革の一環として、水泳の授業の削減をしている
▼学校のプール施設の老朽化で民間のスイミングスクールに委託している場合もあり、時間の確保が難しいまた、日焼けや肌の露出を嫌がりプールに入らない児童も増えているそうです。
泳げない子供が急増のニュースですが、たしかにコロナ禍が理由として大きかったかもしれません。
コロナ禍のスイミングスクールは休止したり、再開したときは水泳用マスクをしたり。
当時はほかの子と接触して感染するかもしれないと運動系の習い事をやめさせた世帯も多かったと思います。
なかでもスイミングは水から感染するかもしれないといった危惧から控えるご家庭がとくに多かったです。
私見・親も学校の変化を受け入れるべき
先ほどのニュースでは水泳授業の削減も泳げない子が増えた理由であると挙げています。
これについては、だからこそ学校にこれ以上を求めるのではなく、家がスイミングスクールに通わせたり、プールに連れて行ったりするしかないのではと感じました。
コロナ禍があけスイミングスクールに通わすご家庭も増えているはずなので、学校の水泳授業数は関係なく、数値は改善してくるのではないかと感じます。
スイミングスクールに通わせればという意見をすると、「共働きで忙しくて行く暇がない」「スイミングスクールに行かせるお金がない」「昔のように学校でちゃんとフォローを」「そもそもスイミングスクールや市営プールがない」といった反論もあるかもしれません。
しかし、自分たちは時代の流れに沿った働き方や生活をしているのに、学校には今まで通り、もしくはそれ以上を求めるのは難しい気がします。

もし、昔と同じ回数を求めたとして、夏休み中の見守りは参加できるでしょうか。
共働きが増えているのだから参加は無理。ボランティアやシルバーサービス、空いている人に頼めばいい、といった意見にならないか気になります。

働き方改革、コスト増など変化があるなか、企業もそれに応じたサービス変化をおこなっています。
学校も学校教育法に則った教育をベースに、できるだけの教育を提供しています。
その点を留意し、親も学校が変化していくことをある程度受け入れていく必要があるのではと感じました。
学習指導要領の目安は修正が必要
また、国・文部科学省も学校の変化を受け入れるべきだと感じます。
「水泳指導と安全/文部科学省」の資料によると、学習指導要領で小学5、6年生はクロールと平泳ぎを続けて長く泳ぐ技能を身につけるとしています。具体的には、25~50メートル程度を目安にクロールや平泳ぎで泳ぐことを目標としています。
学校以外で水泳に慣れ親しんでいない子供であれば、年10回の学校の水泳授業のみでは難しいレベルです。
国がこれを目標とするのであれば、それを可能とする授業数の定めをしたり、実現できるような補助を打ち出す必要があるでしょう。
それが難しいのであれば、実現できそうな範囲の目標値を再設定する必要があると思いました。
この文部科学省の学習指導要領の目標値が成績と結びつくものなのかはわかっていません。
しかし、それに基づいて成績がつけられる。学校の授業内のみでは明らかに習得は難しい。かつ、昔と比べて環境も回数も違うのに目標だけがそのまま。
それでいて成績基準レベルに達するようにしたいなら、各ご家庭でフォローしてという話なら、「学校でもっとやってほしい」という不満の声が出てもしょうがないと感じます。
ほかの教科と違い、家庭でのフォローのハードルが高いです。

【参考サイト】