前回で書いた「SNSでの中学受験で使われる専門用語」を調べたときに、もうひとつ発見がありました。
それは「塾ごとに異なる偏差値の扱い」。
うっすらと「サピックスは難しくて、偏差値は低く出る」といった噂話は聞いたことがあったのですが、それは事実でした。
前回の記事を書いていたときにも、SNSで似たような会話を見かけたんです。
「サピの偏差値50レベルなら、レベルが高くない?」
「早稲アカの◯クラスなら、偏差値□くらいでしょ?」
など。
改めて、どういうこと…?と気になったので、今回は塾ごとの偏差値の扱いを自分なりにまとめてみました。
中学受験について調べ始めたばかりの方は、ぜひご参考ください。
なぜ塾によって偏差値が違うのか
そもそも論。なぜ塾によって偏差値が違うのかといえば、偏差値は「その模試を受けた人たちの中で、どれくらいの位置にいるか」を示す数値だからです。
つまり、母集団のレベルが高い塾(たとえばサピックスなど)であれば、 難関校を目指す成績上位層が集まるため、平均点が高くなります。
その中で「真ん中」を取るのは難しいため、偏差値は低く出ます。
一方、母集団が幅広い塾(たとえば、四谷大塚や日能研など)の場合、中堅校から難関校まで幅広い層が受験するため、平均的な受験生が集まります。
それによって、標準的な偏差値が算出されます。
「首都圏模試」はさらに高く出る傾向!
塾以外での偏差値といえば「首都圏模試」。
首都圏模試は、大手塾の偏差値よりもさらに高く偏差値が出る傾向があります。
理由は、母集団と問題の難易度の2点。
母集団の学力層が「標準的」
首都圏模試は「特定の塾に属していない」模試です。
そのため、「中堅塾・地元の塾に通っている子」「塾以外、通信教材や家庭学習をしている子」「小学校の総復習として受ける子」なども挑戦します。
問題は基礎から標準が中心
また、塾の模試は難関校向けで難しく、基礎が固まっていないと非常に低い点数になることもあります。
一方、首都圏模試は教科書レベルの基礎から標準問題が中心です。
塾による偏差値の違いをもっとわかりやすく
すごく極端な例ですが、たとえば「学校のテスト」でたとえてみると
- サピックス:特進クラスの「超難問テスト」
学年トップ層だけが集められたクラスで行われる、思考力全開のハイレベル試験…。
平均点が30点台なんてこともザラにある、まさに猛者たちの戦い。 - 四谷大塚・日能研:学年全体の「実力テスト」
基礎から応用までバランスよく出題される、中学受験のスタンダード。
受験を目指す子たちの間で「自分が今どの位置にいるか」を正確に測るための、最も信頼できる指標! - 首都圏模試:小学校全体の「総仕上げテスト」
中学受験塾に通っている子だけでなく、家庭学習で頑張る子や、地元の塾に通う子も幅広く参加。
「基本がどれだけ定着しているか」を丁寧に確認してくれる、優しくて大切なテスト。
あくまで極端な例です。
ただ、上記をイメージすると「受ける対象が変われば、順位の価値も変わる」ということがわかると思います。
「偏差値50」はなにをもとに出したものかを知っておくことが、いかに重要かがわかると思います。
ちなみに日能研でよく聞く「R4」って?
偏差値を調べていたところ、塾ごとに独自の指標を出していることがわかりました。
たとえば日能研なら、合格可能性80%を示す「R4偏差値」など。
「R4」の「R」は「RANGE」など「範囲・幅」などを意味する言葉」です。
日能研は独自の合格判定基準を使い、偏差値による合格率を段階ごとに示しています。
「R4」は「合格可能性80%」、「R3」は「合格可能性50%」など。よくある志望校に対する「A判定」とか「B判定」とか、あれですね。詳しく書くと次のとおりです。
- R4(合格可能性80%以上)
「合格確実圏」よほどのことがない限り合格できるライン - R3(合格可能性50%)
「合格五分五分」ボーダーライン - R2(20%)
「挑戦圏」合格者は出ているが、かなり厳しい戦いとなるかも…!
つまり、「R4偏差値50」の学校であれば、「偏差値50あれば、10人受けて8人は受かる」という意味になるそうです。
ただ、R3、R2とか、実際に目にするのは塾生のみ。
日能研の偏差値表はR4を基準に作られていて、「中学入試 R4一覧」といった名前で出されています。
日能研以外の人は「R4ってなに?」と思うかもしれませんが、「日能研独自の言い方ね」くらいに思っておけばいいです。
日能研の塾生だった場合は、「志望校は(R4が)58だけど、今回のテストの偏差値は55だったからR3(ほかの塾でいうB判定)くらいか」といった判断基準になるかと。
四谷大塚も独自のなにかがあるの?
ちなみに「四谷大塚・日能研」を並べた理由のひとつに、四谷大塚は「合不合判定テスト」の存在があります。
日能研は「R4偏差値」があるのに対して、四谷大塚は「合不合判定テスト」による偏差値(Y偏差値)があります。
合不合判定テストは多くの提携塾や早稲田アカデミーも利用しているなど、受験者数・実施回数ともに全国最大規模のネットワークを誇っているため、Y偏差値の精度も非常に高く、中学受験界では広く使われている指標とされています。
塾ごとの「偏差値の高さ」を見てみよう
偏差値50の価値が違うのであれば、それぞれ学校の偏差値はどう表現されているのか…。
これも調べてみたところ、模試によってこれだけ数字や位置が変わることがわかりました。
| 学校のレベル感 | サピックス(S) | 四谷・日能研 (Y/N) | 首都圏模試 |
|---|---|---|---|
| 超難関校(開成・桜蔭など) | 62〜 | 70〜 | 78〜 |
| 難関校 | 52〜 | 62〜 | 70〜 |
| 中堅校 | 40〜 | 50〜 | 60〜 |
| 標準校 | (30代) | 40〜 | 50〜 |
結局、どの模試・偏差値を参考にすればいい?
塾や模試の偏差値にばらつきがあると、結局どれをどう参考にすればいいのか分かりづらいですよね。
そういうときは、「志望校のレベル」や「お子さんの今の状況」に合わせて、使うものを選ぶと良いかもしれません。
難関校・御三家を目指すなら…サピックス
ライバルたちが強敵ばかり。厳しい環境で自分の立ち位置を知るには最適。
ただ、サピックスは難関校への実績の高さが評判を予備、最近では低学年から入塾しないと定員で埋まっているケースもあるという話も聞きます。
志望校をこれから探す・中堅校狙いなら…四谷大塚・日能研
受験者数が多く、歴史もある。データの信頼性も高い。
間口も広く受験を目指す一定レベルの人が集まりやすいため、「一番標準的な偏差値」ともいえます。
中学受験を始めたばかり・自信をつけたいなら…首都圏模試
基礎問題が中心なので、「解けた!」という達成感を味わいやすい。良い意味で励みになったり自信に繋がったりする。
塾の模試はクセがあったり、塾生の学習スピードに合わせたものが多いため、本来の小学生としてのレベルを確認したいときには特におすすめ。
(※偏差値を判定に使う場合は、塾の偏差値との差を考慮する必要あり)
以上、今回は中学受験における偏差値の扱いは、どこでなにを受けたかによってかなり変わる、ということをまとめました。
前回は隠語のような用語(?)について調べて書きましたが、中学受験については知らないことがまだまだ出てきそうです…。
またなにか新発見があったら備忘録がてらまとめていこうと思います。
- 最新: テストでまさかの「途中退室」。突然の体調不良
- 志望校: 志望校決めはまだ先?イベント参加どうする?
- 成績: 「日能研番号=成績順」?道を誤らないために
- テスト: 正解なのに✕判定!?スキャン採点の盲点
- 授業: 「予習NG」への新解釈。初の育成テストと戸惑い
- 運用: 「ノートが真っ赤でもOK?」 「ノートの背表紙問題の解決法」
- 日常: 塾弁が『15分』?令和の塾弁事情と親のメリット
- 知識: 塾ごとに違う「偏差値」の扱い(サピ・日能研・首都圏)
- 用語: 中学受験の隠語に困惑。SNSのNN、イルカって?